輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
なんろ
南路
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《南路(なんろ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,813 字 · 63 頁
自分がいさえすれば、助けになることのあるのは知れきっている。彼女の安全の度は多量に増す。それを知りつつ、自分の延びても僅かな楽しみを偸(ぬす)むのは実に安らかではない。――
長い沈黙の後、私は、うるんだ声で、然しはっきり、
「帰った方がいいと思うことよ」
と云った。
「私共は、金さえあれば何時でもまた来られる。けれども……お母様の命は、一つほかない」
「うん……私もそう思っていたところだ。その方がよかろう」
「そうするわ。……」
種々な感動が入り乱れて、私は涙を止められなかった。自分が着くまでに母は死んでいやしまいかという危惧、種々な想像の不吉な予感、また、自分達の、始まったばかりの優しい暖い生活と引離れる辛さ。
私は、心が二つにひきちぎれる心持がした。
大学の仕事の都合で、良人が一緒に帰られないのは、云わないでも分っている。
仕舞に、私は、涙が全く神経的に流れ出すのに心付き、
「大丈夫よ、神経だから。大丈夫よ」
と、かまわず、必要な相談を始めた。
もう夜が更け、一二時になり、森とした家々を超えて、高架電車の駛る音が、寂しく機械的に耳に響く。
○