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げんしばくだんざつわ
原子爆弾雑話
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《原子爆弾雑話(げんしばくだんざつわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,907 字 · 14 頁
そうすると、独逸が今度の戦争で使っている科学兵器の優秀さには異論がないから、基礎科学などは、どうでもよいもののように見えることになる。しかし私たちは、現在の独逸は、ナチに追放された偉い学者たちがまだ独逸にいた頃の学問的遺産を、いま力一杯に使い切っているのではないかと思っている。
事実独逸が遺産を喰い潰している間に、米国ではどんどん貯蓄して行っていたのである。あらゆる種類の元素について、その原子を人工的に崩壊してみて、その時に出る勢力と放射線の性質とを調べるという風な同じような論文が、いつまでも根気よく米国最大の科学誌『物理評論』に毎月いくつと出ている。見る方で根気負けがするくらい沢山の論文が出ても、何時になったらそれが次の時代の勢力源として実用化されるか、まるで見当がつかない状勢で過ぎて行った。
ところが昭和十五年になって、遂にウラニウムの核分裂という新しい現象が恐るべき勢力源として現われて来たのである。その論文が日本に届いたのは、確か太平洋戦争勃発の一年くらい前であった。ラサフォードがキャベンディシュ研究所の俊秀を総動員して、世界の物理学の主流を原子構造論から一歩進め原子の内部に足を踏み込ませ、原子核構造論の樹立に眼を開かせてから約十年、それを受けたアメリカが、莫大な物と金と人とを困難な実験に注ぎ続け