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きょうふのきせつ
叢書名著の復興1 恐怖の季節
三好 十郎
線上閱讀三好 十郎《叢書名著の復興1 恐怖の季節(きょうふのきせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 頁
私にとって私の考えは決定的であった。そして私の考え方は既成の新劇人の間に、ほとんど賛成を得られなかった。しかたなく私は新劇から抜けてしまった。
4
新劇を取巻いている外的な条件として、次ぎに、観客層の低さという問題がある。
総体として日本の一般大衆の文化水準がたいへん低いことは、私などが今更言うまでも無く、残念ながら事実のようだ。なにしろ、いまだにナニワ節が圧倒的に人気があったり、ラジオの「向う三軒両どなり」といったふうの種目を世論の圧力でやめさせてしまうことも出来ないほどの水準である。そして、新劇は、どう安く見積ってみても、相当以上に高度の文化水準を予定して行われる仕事だ。それが、右のような大衆の前で、どんなに歯ぎしりをしてナニワ節などと太刀打ちをしてみても、当分の間、勝目は全く無いだろう。そういう中で、無理にも新劇をやって行こうとなると、いきおい、少数の「選まれたる」インテリまたは半インテリを相手にしなければならぬことになる。事実そうなっている。
そして、その「選まれたる」インテリ又は半インテリが、実は、更に困ったシロモノなのである。