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きょうふのきせつ
叢書名著の復興1 恐怖の季節
三好 十郎
線上閱讀三好 十郎《叢書名著の復興1 恐怖の季節(きょうふのきせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 頁
あるいはどこかの野末か軒下で斬られて死んでいるかも知れぬ。
今井 加多さん、玉造の諸兄は予定通り敢行したらしいですなあ、ご覧なさい!(空の火明りは急速に赤くなり、その反映が三人の顔に赤く映るぐらいになる)
仙太 おお! ありゃ真壁の町だ!
加多 われらと同憂の士が、玉造の百姓とともに打って出て、永らくわれらに耳を貸そうとしない横道の物持ち、米商人、質屋、支配所、陣屋などを焼くのだ。……綺麗だなあ!
今井 天狗組最初の狼火だ! 日本国を焼き浄めるための、あれは、第一の火の手だっ!
(三人は谷に向い、益々赤く焦げる空に対して、ジーッと無言で真壁の方を見詰めて立つ。事実音が聞こえる程に物凄く赤黒く焦げて行く空。
三人無言で立ったまま非常に永い間。――驚いてけたたましく鳴く遠くの猿の声。夜鳥の叫び。
やがて、前の時とは較べものにならぬ程急調にドウドウドウと山一杯に鳴り出す社の太鼓の音)
仙太 (その音で目が醒めたようになり)おう、こうしちゃいられねえ! (と箱を抱え込んで)じゃ、お二人さん、まっぴらごめんねえ。
加多 仙太、逃げるか?
仙太 冗談だろう。約束したんだ、とにかく植木まで突走るんだ。