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きょうふのきせつ
叢書名著の復興1 恐怖の季節
三好 十郎
線上閱讀三好 十郎《叢書名著の復興1 恐怖の季節(きょうふのきせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 頁
坂の方から一度と原の方に一度見かけたが、此方がその気で見るからこの辺ばかりウロウロしているようにも思えるが、何しろ薩州屋敷が近い。誰かにあいに来たものか、茶屋小屋の掛け取りか、ことに依ればつけ馬かな。ハハ、そういえば、夜目でよくわからんが、まず仲居といった風俗。(兵藤に)先生、もうお済みですか?
兵藤 もう暫く外にいて貰いたい。
甚伍 ええ、私がお引合せをしておいてこんなことを申すのもいかがなものですが、これが今夜かぎりの話ではねえ、明日という日もあります。また、近日皆さんお話合い下さるとして、今夜のところは、これぐらいで……。
兵藤 うむ……。(ジロリと井上を見る。井上はどうしたのか黙って何かに気を取られている様子)
吉村 さよう。……少し気長に話し合えばよいのだ。(士甲に)しかし、とにかく、もう少し外を。
士甲 は。しかし万々心配はありませんが?
吉村 わしはよいが、兵藤氏が居られる。無駄となればこの上なし。頼む。
士乙 承知いたしました。(甲に)行こう。(乙は皆に一礼して再びくぐり戸の方へ行き消える。――間。一座が緊張したまま白け渡る。士甲は不安そうに座敷の四人を見ている……)