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こだいこくごのおんいんについて

古代国語の音韻に就いて 他二篇

橋本 進吉

線上閱讀橋本 進吉《古代国語の音韻に就いて 他二篇(こだいこくごのおんいんについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,329 字 · 188 頁

青空文庫

そうして、平安朝初期に作られその盛時まで世に行われた「あめつち」の頌文(四十八字)およびその後これに代って用いられた「いろは」歌(四十七字)が、不完全ながらもその当時の音韻組織を代表するものであった。しかるに、この仮名は初のうちは相当正しく音韻を表わしたであろうが、院政・鎌倉時代から室町時代と次第に音韻が変化して行った間に、仮名と音韻との間に不一致を来し、仮名が必ずしも正しく音韻を代表しない場合が生じた。ところが、幸に外国人が、外国の文字で表音的に当時の日本語を写したものがあって、その闕陥を補うことが出来る。支那人が漢字で日本語を書いたものと西洋人がローマ字で日本語を写したものとが、その重なものであるが、支那人のものは鎌倉時代のものも多少あるが、室町時代のものはかなり多い。しかし漢字の性質上、その時代の発音を知るにかなりの困難を伴う。西洋人のは、室町末期に日本に来た宣教師の作ったもので、日本語について十分の観察をして当時の標準的音韻を葡萄牙式のローマ字綴で写したものであるから、信憑するに足り、且つ各音の性質も大概明らかであって、当時の音韻状態を知るべき絶好の資料である。