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こだいこくごのおんいんについて

古代国語の音韻に就いて 他二篇

橋本 進吉

線上閱讀橋本 進吉《古代国語の音韻に就いて 他二篇(こだいこくごのおんいんについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,329 字 · 188 頁

青空文庫

五 国語音韻変化の概観

五 国語音韻変化の概観

以上、日本の中央の言語を中心として、今日に至るまで千二、三百年の間に国語音韻の上に起った変遷の重なるものについて略述したのであるが、これらの変遷を通じて見られる重なる傾向について見れば、

(一) 奈良朝の音韻を今日のと比較して見るに、変化した所も相当に多いが、しかし今日まで大体変化しないと見られる音もかなり多いのであって、概していえば、その間の変化はさほど甚しくはない。

(二) 従来、古代においては多くの音韻があり、後にいたってその数を減じたという風に考えられていたが、それは「い」「ろ」「は」等の一つ一つの仮名であらわされる音韻だけのことであって、新たに国語の音として加わりまたは後に変化して生じた拗音や長音のような、二つまたは三つの仮名で表わされる音をも考慮に入れると、音韻の総数は、大体において後代の方が多くなったといわなければならない。

(三) 音韻変化の真の原因を明らかにすることは困難であるが、我が国語音韻の変遷には、母音の連音上の性質に由来するものが多いように思われる。我が国では、古くから母音一つで成立つ音は語頭には立つが語中または語尾には立たないのを原則とする。