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こずのしんじうべきていど
古図の信じ得可き程度
木暮 理太郎
線上閱讀木暮 理太郎《古図の信じ得可き程度(こずのしんじうべきていど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,637 字 · 8 頁
勿論余は広く古図を渉猟して、そのすべてを詳細に調査したるに非ず、僅に三、五のものに就て大体を探究し、特に上州の一局部を精査したるに過ぎざれば、すべての古図皆然りというは同じく危険なる結論に到達するの嫌なきに非ずと考えしも、一を以て他を類推し、さしたる不都合なきを認めたるは、余の少しく意外とする所也。今左に其一例として菅沼を挙げ、古絵図の如何なる程度まで信頼して差支なきやを知らんとす。
菅沼は上野国利根郡片品村大字東小川村の地内にある山湖にして、湖面は海抜千七百十九米の高さを有す。此湖に就ては、『山岳』第十四年第一号の雑録欄に、「一、二山湖の名称」と題して、武田君の詳細に論究されたる記文ありて、夫に拠れば古絵図には、此湖の辺と思われるあたりにツウラ沼なるもの記入されあるも、菅沼の名はなく、其名の始めて地図上に記載されたるは、明治十三年十月出版の『改正銅鐫上野国全図』にして、而も其名称が現時の菅沼を指させるものなるか、或は附近の丸沼及大尻沼を指せるものなるか、又は以上の三湖を引括めて指せるものなるかは、只一湖を描けるのみなるを以て、推測する材料の乏しきに苦しむ次第なりといわれ、津婦良沼又はツウラ沼なる名は前記三湖の総名とするよりも、大尻沼か然らずんば大尻沼及丸沼の総称と考うる方一層合理的と思わると述べられたり