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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(三)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 241,558 字 · 480 頁
とおりにいたしましたところ、どう考えてもいっこうにがてんがいかねえんでごぜえます。こっそりと向こうの横町にかくれておって、このおかしな橙を受け取ってくださるとのお約束のその頼み手が、待てど暮らせどいまだに姿を見ませんので、じつは、ご覧のとおり、先ほどからぼんやりと思案していたんですよ」
「その頼み手は、どこのだれだッ」
「それは、その――」
「それはその、がどうしたんだよ! 頼み手があるというなら、それを聞きゃ用が足りるんだッ。日ごろごひいきのそのお屋敷とやらは、どこのどやつだッ」
「そいつばかりゃ、せっかくながら――」
「いえねえというのかッ」
「あっしも男達とか町奴とか人にかれこれいわれる江戸っ子、いうな、いいませぬと男に誓って頼まれたからにゃ、鉛の熱湯をつぎ込まれましても名は明かされませぬッ」
「な、な、なんだと! やい! ひょうろく玉!」
聞いて横から飾り十手を斜に構えながら、ここぞとばかりしゃきり出たのは、だれならぬおしゃべり屋の伝あにいです。
「な、な、何をぬかしゃがるんだッ。ふやけたつらアしやがって、江戸っ子がきいてあきれらあ! 品が違うんだッ、品がな! 熱湯つぎこまれてもいいませぬ、白状しませぬというつらは、そんなつらじゃねえや! おいらのようなこういう生きのいいお面が、正真正銘江戸っ子のお面なんだッ。