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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(三)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 241,558 字 · 480 頁
――名人の声がそろそろとさえだしました。
「妙だな。泥斎! ちっとおかしかねえかい」
「何がでござります」
「せがれ粂五郎のふできはとにかくとして、のらくら者の弥七郎が、師匠のおまえさんより上物をこしらえるとは変じゃないかよ」
「なるほど、しろうと目にはさように見えるかも存じませぬが、どうしてなかなか、われわれくろうと目には老いても泥斎、自慢するのではござりませぬが、まだまだ弟子に劣るようなものはこしらえませぬ。弥七郎ごとき及びもつかぬはずでござります」
「ほほう。しろうと目だというのかい。そうかもしれぬ。名作名品、芸道のこととなると常人の目の届かぬところがあろうからな。しかし、それにしても――」
「なんでござります?」
「土も同じ、薬も同じ、おそらく窯も同じ一つ窯であろうが、にかかわらず、焼き色、仕上がりに、できふできのあるは不思議だな」
「どういたしまして、土こそ、薬こそ同じでござりまするが、窯ばかりは一つでござりませぬ」
「それはまたどうしたわけかい」
「そこが流儀のわかれどころ、苦心の入れどころ、火くせ、焼きくせ、窯くせというものがござりまして、えもいわれぬ働きをいたすものでござりますゆえ、てまえの窯、せがれの窯、弥七郎の窯と、窯ばかりは三人別々でござります」