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ななしゆびものがたり
名なし指物語
線上閱讀新美 南吉《名なし指物語(ななしゆびものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N4,點詞查義。
N4 · 入門 · 新字新假名 · 10,312 字 · 21 頁
おじいさんは、その小さな手を大きな手でとって、
「そうだ。わたしが名なし指をなくしたのは、わたしのこの大きな手が、この小さな手のくらいのときだったな。今では、木の根っこみたいに、ごつごつになったけれど、そのころは、この手のように美しく、やわらかだった。」
といいながら、なつかしむようにマタンじいさんは、子どもの手を見つめていました。
「わたしが名なし指を、どうしてうしなったか、そのわけを聞かせてあげようかな。」
そういってまた、ノミをにぎり、前かがみになって、木ぐつのあなをほりはじめました。
マタンじいさんも、五十年ほどいぜんには、ほっぺたの赤い、かわいい少年でした。そのころマタンは、北のほうの、古い小さな村に、たったひとりのかあさんの手で、そだてられていました。村にはリンゴの木がたくさんあって、明るい夏には白い花がさき、村にはリンゴのかおりが、いっぱいに流れました。そしてその花が、寒いころになると、珠のような美しい実になるのでした。少年のマタンが、ある日、道ばたで、一つのクルミをひろったのは、ちょうど、リンゴの実の熟れるころでした。
「なんだ、つまんない。