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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《吾輩は猫である(『わがはいはねこである』じょうへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 頁

青空文庫

この禿を第一番に見付けたのは姉のとん子である。

「あら多々良さんの頭は御母さまのように光かってよ」

「だまっていらっしゃいと云うのに」

「御母あさま夕べの泥棒の頭も光かってて」とこれは妹の質問である。細君と多々良君とは思わず吹き出したが、あまり煩わしくて話も何も出来ぬので「さあさあ御前さん達は少し御庭へ出て御遊びなさい。今に御母あさまが好い御菓子を上げるから」と細君はようやく子供を追いやって

「多々良さんの頭はどうしたの」と真面目に聞いて見る。

「虫が食いました。なかなか癒りません。奥さんも有んなさるか」

「やだわ、虫が食うなんて、そりゃ髷で釣るところは女だから少しは禿げますさ」

「禿はみんなバクテリヤですばい」

「わたしのはバクテリヤじゃありません」

「そりゃ奥さん意地張りたい」

「何でもバクテリヤじゃありません。しかし英語で禿の事を何とか云うでしょう」

「禿はボールドとか云います」

「いいえ、それじゃないの、もっと長い名があるでしょう」

「先生に聞いたら、すぐわかりましょう」

「先生はどうしても教えて下さらないから、あなたに聞くんです」

「私はボールドより知りませんが。長かって、どげんですか」