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『わがはいはねこである』じょうへん
吾輩は猫である
線上閱讀夏目 漱石《吾輩は猫である(『わがはいはねこである』じょうへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 頁
「御謙遜では……恐れますから……どうか」主人は真赤になって口をもごもご云わせている。精神修養もあまり効果がないようである。迷亭君は襖の影から笑いながら立見をしていたが、もういい時分だと思って、後ろから主人の尻を押しやりながら
「まあ出たまえ。そう唐紙へくっついては僕が坐る所がない。遠慮せずに前へ出たまえ」と無理に割り込んでくる。主人はやむを得ず前の方へすり出る。
「苦沙弥君これが毎々君に噂をする静岡の伯父だよ。伯父さんこれが苦沙弥君です」
「いや始めて御目にかかります、毎度迷亭が出て御邪魔を致すそうで、いつか参上の上御高話を拝聴致そうと存じておりましたところ、幸い今日は御近所を通行致したもので、御礼旁伺った訳で、どうぞ御見知りおかれまして今後共宜しく」と昔し風な口上を淀みなく述べたてる。主人は交際の狭い、無口な人間である上に、こんな古風な爺さんとはほとんど出会った事がないのだから、最初から多少場うての気味で辟易していたところへ、滔々と浴びせかけられたのだから、朝鮮仁参も飴ん棒の状袋もすっかり忘れてしまってただ苦しまぎれに妙な返事をする。
「私も……私も……ちょっと伺がうはずでありましたところ……何分よろしく」