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あいこくしんわたしはこうおもう
和人は舟を食う
知里 真志保
線上閱讀知里 真志保《和人は舟を食う(あいこくしんわたしはこうおもう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 70,567 字 · 144 頁
叙事詩の中で、炉ばたに坐っている人に何か心の屈託があって、それを言い出そうとしてはちゅうちょしているさまを形容するのに、いつも出てくる文句は「岸なる灰を沖へかきやり、沖なる灰を岸へかきよせ、そのあいまあいまを突きながらかきまぜながら」というのであります。また炉ぶちをイヌンペと申しますが、これは「漁獲するもの」という意味で、炉の中で焼いた物をこの上にとり上げたりするのを、炉物が網を引いて獲物をもうけるのかのごとくいいなしたものであります。
アイヌが海の民族であったことは、また叙事詩の中に出てくる種々の慣用句の中にもあらわれていて、たとえば傷ついてもがき苦しむことを釣り上げられた魚の断末魔のもがきはためくごとに譬えたり、急に引き返すことを「魚の身をひるがえすにさも似たり」と形容したり、われわれなら「まっこう唐竹割りに切り下げる」というべきところを「魚を背割りするがごとく」と言ったり、われわれなら「青菜に塩」というべきところに「永く水に漬けておいたこんぶのように」といったり、とにかく海民の生活からでなければ生れてこないような多くの慣用句をもっているのであります。