輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

わし

和紙

東野辺 薫

線上閱讀東野辺 薫《和紙(わし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 35,557 字 · 70 頁

青空文庫

楮煮のかまどの前に蹲って、柴を折りくべている友太のうしろ影が、ふと夫の姿に見える錯覚に、思わずびくッとすることもあった。夜、としゑとせん、よしと惣三の二組に連れ立って、戸外にある便所へ行くのにも、何となく腹立たしい気持にさせられた。

「んだにお前ら、お父さがおっかねべかや。お母さはな、何とかしてお父さが出てくれるといいと思ってるに。」

冗談でない顔色でそう言われると、としゑ達の方では返す言葉もないのである。実際、おときは口さきだけでなく、寝しなに戸外へ立った時などは、しばらく凝っと闇を透かして夫の姿を求めるのであった。

としゑを家に引きとることにしたという、最初にやった報告の返事が、二ヶ月近くかかってようやく中支の惣吉から来た。もし目出度く帰還が出来たら改めて両親にお詫びをするが、万一の場合には宜しくお願いするというのであった。お詫びもなにも、お父さはもう居ないのだと、おときは泣き笑いをしながら新しい位牌の前にその手紙を供えた。

「お詫びなんどどうでもいい、お父さは何もかもわけのわかった人だったでな、ただな、孫の顔も見ねえで……。」

溢れ出る涙を拭きもせず、それからいつもの独り言になるのであったが、こういう時の母には、よしもとしゑも何とも言葉をかけかねて、遠くの方に小さくなっているしかなかった。