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とらわれびと
囚われ人
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《囚われ人(とらわれびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,109 字 · 35 頁
或るコンクリー建築の四階の室。室内装飾は何もないが、ただ、大きな電灯の円笠が天井からぶらさがっていて、室中に明るみを湛えている。片側だけ窓で、窓の外は闇夜。全体が箱の中のような感じ。室の一方に、巨大な円卓があって、その端寄りに数人の男女が集まっている。彼等と向い合って、室の他方に、四角な小卓があり、正夫が坐っている。正夫はたいてい卓上に顔を伏せていて、ごく稀にしか顔を挙げない。――この一篇、単に寓話であって、戯曲ではないから、人物の言語動作、唐突なこと多く、謂わば人形芝居めいた雰囲気。その上、正夫に対して大円卓の正面に坐っている一人の男だけが、通常の人間の恰好で、その周囲にいる男女たちは、なんだか畸形的なグロテスクな様子。どんなことになってゆくのか、私(筆者)にも見当はつかない。というのは、この箱のような室内の一隅に、私はたまたま居合せていたに過ぎないからである。長い沈黙。正夫、立ち上って伸びをし、また腰を下して、卓上に顔を伏せる。円卓の正面の男、議一が声をかける。
議一――正夫君、退屈してるようだね。退屈は人生の最大の悪だ。そういう言葉を覚えてるだろうね。