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あかげっと しなあちこち
国枝史郎歴史小説傑作選
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《国枝史郎歴史小説傑作選(あかげっと しなあちこち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 59,334 字 · 121 頁
というのであった。
これはカルタゴに執っては、滅亡しろ、ということに他ならないのである。
そこで、はじめて、カルタゴ市民は(カルタゴは、都市国家であったから、市民は国民なのである)挙国一致、国難に赴く決心をし、如上の如き態度を執ったのであったが、時既に遅く、前記の如く、相当の期間独立を保ったが、遂には亡ぼされた。
いかに、挙国一致国難に赴くの態勢を執ったところで、時期に遅くれては何んの効果も無いという、よい例の一つである。
現下の日本など何うであろうか?
カルタゴは、ローマと戦端をひらいた当時に於ては、ローマよりも富んでおり、武備も完成しており、特に海軍に至っては、ローマなど、足下へも寄れないほど精鋭完備だったのである。
それで、負けた。
尤も、カルタゴは、アフリカの植民地から発達した国家であったため、自由精神を尊び、経済(主として貿易)に於ては、自由主義を用い、個人の生活様式に於ては、享楽主義を旨とした。
しかし然ういう国家であっても、前記の如く、曠古の英雄ハンニバルを産んだ如き、質素良好の国家だったのである。
では、もし、挙国一致、婦人が髪を切って弓弦として、国難に赴く如き態勢を、時期に遅くれずに採用したならば、せいぜい擡頭期に於けるローマ如きにああもミジメに亡ぼされなかったであろう。