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ちじょう
地上
島田 清次郎
線上閱讀島田 清次郎《地上(ちじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 頁
米子は少し不興らしげだった。(彼女はいつも用足しに出かけるとき、街路で球投げをしてにこ/\笑っている平一郎をよく憶えていたから、同じ平一郎を市子が知っていることを不快に思ったのだ。泥塗れの中に育っても少女の純真さは、毎夜の、酒を飲んで悪巫山戯する多くの男達を記憶に深く留めないで、近所の少年のふとした微笑を憶えしめていたとは!)
「平一郎さんもここへいらっしゃるの、え? 冬子姐さん!」こう市子が突然訊ねたが、冬子の答えないうちに、そのとき出て来たお幸に、
「早く庭の掃除をしなさいな。何、ぐず/\しているの」
と叱られて、二人の少女は土間へ下りて、混乱した下駄を一足一足整えはじめた。店の間や茶の間にもはたきの音が聞えはじめた。掃除は鶴子と茂子と時子がはじめたのであった。(菊龍や富江がおれば彼女等も手伝った。)鶴子は一人で大声をあげて大ざっぱに掻き廻していた。茂子は黙然として掃いていた。時子はぶつ/\呟いてろくに掃除をしようともしなかった。(菊龍さんや富江さんは今頃はまだ暖かい床に眠っているのだろうに、ほんとにばからしい。今夜は電話をかけて昨夜のあの番頭をよんでやろう)などと考えていたのだ。