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ちていせんしゃのかいじん
地底戦車の怪人
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地底戦車の怪人(ちていせんしゃのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 頁
ピート一等兵は、指さきについたものを、口のところへもっていって、舌でぺろぺろなめはじめた。
「やあ、こりゃうまい。いやあ、すてきに、うまいぞ。おれの脳みそは、まるで、おしつぶされた林檎みたいだ」
といったが、林檎の味がするのも道理である。ピート一等兵は、林檎の袋の中に、頭をつっこんでいたのである。彼は、じぶんの脳みそとばかりおもって、じつは、じぶんのあたまの下におしつぶした林檎を、指さきにとって、一生けんめい、うまいうまいと、なめていたのである。そのことは、やがて彼も、気がついた。なぜならば、指をなめたあとで、手をあたまのところへもっていくうちに、まだつぶれない林檎に手がふれた。
「おやッ、こんなところに、おれの脳みその塊が、落っこってらあ」
脳みその塊ではない。ほんものの林檎であった。彼はもうその区別などは、どうでもよかった。彼は、やたらに、林檎を喰った。つぎからつぎへと、手をのばして、林檎を、丸かじりして、腹の中におさめた。
合計十五個の林檎を食べおわったときには、さすがの彼も、ほんとのことを悟っていた。これは林檎であって、脳みそではない。なぜなれば、大きな林檎が十五個もはいるような脳なんて、きいたことがないからである。