輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ちすいかふうくう

地水火風空

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《地水火風空(ちすいかふうくう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,831 字 · 4 頁

青空文庫

月清らかな初夏の夜、私はA老人と連れだって、弥生町の方から帝大の裏門をはいり、右へ折れて、正門の方へぬけようとした。二人とも可成り酔っていた。不忍池の蓮の花に、月の光が煙っているのを眺めながら、一杯傾けての帰りなのである。

八角講堂の裏の、薄暗いだらだら坂を上りきって、ぱっと蒼白い月光の中に出た時、A老人は突然立止って、私の肩を叩いた。

「どうだい、こうして眺めると、大学というものも悪くないね。」

A老人が振向いた方を眺めると、辰野工学博士の傑作の一つとされてる工科大学の建物が、中世紀風のシャトーの姿を、星屑の淡い夜空に、くっきり聳やかしている。全体が優雅に模糊として、頂のクレノーが厳めしい。

ほほう、これはまた不思議だ……と私は思ったのである。頭髪半白な剽軽なA老人が、ゴシック式のシャトーを讃めようとは。

だが、老人の眼は、よく見ると、工科大学の建物の方へではなく、すぐ前の、こんもりと茂った木の下影の、何だか怪しい物に注がれていた。

「何を見ているんですか。」と私は尋ねた。

「何をだと……。」そして彼は私の顔をじっと見返した。「君は大学で何を学んだ。