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じしんなまず

地震なまず

武者 金吉

線上閱讀武者 金吉《地震なまず(じしんなまず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 98,954 字 · 195 頁

青空文庫

ある夕方もうお父様がお帰りになる時分だと、二階の手摺りから体をのり出して見ている中に、誤って庭に落ちたのである。百方手を尽くされたがその甲斐がなかった。

先生自身執筆された「悔恨三十年」に次のように書いてある。

「百合子は誠に利巧な子供であった。亡くなったとき、歳はわずかに三年三月であったが、普通の子供のようではなかった。当時余の出勤は早かった。午前七時に授業開始の日が多かった。それでも大てい余と一緒に食事をした。そうして給仕をしてくれた。自分のお碗をよそいかけていても、余のお代わりとなるのを認めるや否や自分の方はすぐ差しおいて、まず余の方の給仕をしてくれるのが普通であった。百合子は聞きわけのよい子供であった。当時不如意がちであったので、玩具や画草紙など買ってやることもまれであったが、ただ雑記帳に絵をかいて貰うことをこの上もなく喜んでいた。そしてそれを大事にしていた。余の忙しそうな様子や不機嫌な風を見ると、無理にせがむようなことは決してしなかった。ただ「あちた書いてね」といって、折角出して来た雑記帳をまた大事にしまうのであった。」

明治三十九年は先生にとって生涯忘れることの出来ない悪い年であった。