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こうふ

坑夫

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《坑夫(こうふ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 頁

青空文庫

そうしたら、どうも這入るのが厭になった。月を浴びて外に立っているのも、つらくなった。安さんの所へ行って泊めてもらいたくなった。一歩引き返して見たが、あんまりだと気を取り直して、のそのそ長屋へ這入った。横手に広い間があって、上り口からは障子で立て切ってある。電気灯が頭の上にあるから影は一つも差さないが、騒ぎはまさにこの中から出る。自分は下駄を脱いで、足音のしないように、障子の傍を通って、二階へ上がった。段々を登り切って、大きな部屋を見渡した時、ほっと一息ついた。部屋には誰もいない。

ただ金さんが平たく煎餅のようになって寝ている。それから例の帆木綿にくるまって、ぶら下がってる男もいる。しかし両方とも極めて静かだ。いてもいないと同じく、部屋は漠然としてただ広いものだ。自分は部屋の真中まで来て立ちながら考えた。床を敷いて寝たものだろうか、ただしは着のみ着のままで、ごろりと横になるか、または昨夕の通り柱へ倚れて夜を明そうか。ごろ寝は寒い、柱へ倚り懸るのは苦しい。どうかして布団を敷きたい。ことによれば今日は疲れ果てているから、南京虫がいても寝られるかも知れない。