輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

こうふ

坑夫

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《坑夫(こうふ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 頁

青空文庫

「おおい」

と声を揚げた。淋しい夜道で、急に人声を聞いた人があるかないか知らないが、聞いて見るとちょっと異な感じのするものだ。それも普通の話し声なら、まだ好いが、おおいと人を呼ぶ奴は気味がよくない。山路で、黒闇で、人っ子一人通らなくって、御負に蝙蝠なんぞと道伴になって、いとど物騒な虚に乗じて、長蔵さんが事ありげに声を揚げたんである。事のあるべきはずでない時で、しかも事がありかねまじき場所でおおいと来たんだから、突然と予期が合体して、自分の頭に妙な響を与えた。この声が自分を呼んだんなら、何か起ったなとびくんとするだけで済むんだが、五六間後から行く自分の注意を惹くためとは受取れないほど大きかった。かつ声の伝わって行く方角が違う。こっちを向いた声じゃない。おおいと右左りに当ったが、立ち木に遮られて、細い道を向うの方へ遠く逃げのびて、遥の先でおおいと云う反響があった。反響はたしかにあったが、返事はないようだ。すると長蔵さんは、前より一層大きな声を出して、

「小僧やあ」

と呼んだ。今考えると、名前も知らないで、小僧やあと呼ぶなんて少しとぼけているがその時はなかなかとぼけちゃいなかった。