輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ほうおんき
報恩記
線上閱讀芥川 竜之介《報恩記(ほうおんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,803 字 · 30 頁
が、甚内は役人どころか、盗人だと申すのでございます。盗人が盗人を捉えようとした、――このくらい珍しい事はございますまい。今度は甚内よりもわたしの顔に、自然と苦笑が浮びました。しかしそれはともかくも、調達の成否を聞かない内は、わたしの心も安まりません。すると甚内は云わない先に、わたしの心を読んだのでございましょう、悠々と胴巻をほどきながら、炉の前へ金包みを並べました。
「御安心なさい、六千貫の工面はつきましたから。――実はもう昨日の内に、大抵調達したのですが、まだ二百貫ほど不足でしたから、今夜はそれを持って来ました。どうかこの包みを受け取って下さい。また昨日までに集めた金は、あなた方御夫婦も知らない内に、この茶室の床下へ隠して置きました。大方今夜の盗人のやつも、その金を嗅ぎつけて来たのでしょう。」
わたしは夢でも見ているように、そう云う言葉を聞いていました。盗人に金を施して貰う、――それはあなたに伺わないでも、確かに善い事ではございますまい。しかし調達が出来るかどうか、半信半疑の境にいた時は、善悪も考えずに居りましたし、また今となって見れば、むげに受け取らぬとも申されません。