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ほうおんき
報恩記
線上閱讀芥川 竜之介《報恩記(ほうおんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,803 字 · 30 頁
恩を返したさに?――いや、恩と云うよりも、むしろ恨を返したさにです。しかし甚内はどこにいるか? 甚内は何をしているか?――誰にそれがわかりましょう? 第一甚内はどんな男か?――それさえ知っているものはありません。わたしが遇った贋雲水は四十前後の小男です。が、柳町の廓にいたのは、まだ三十を越えていない、赧ら顔に鬚の生えた、浪人だと云うではありませんか? 歌舞伎の小屋を擾がしたと云う、腰の曲った紅毛人、妙国寺の財宝を掠めたと云う、前髪の垂れた若侍、――そう云うのを皆甚内とすれば、あの男の正体を見分ける事さえ、到底人力には及ばない筈です。そこへわたしは去年の末から、吐血の病に罹ってしまいました。
どうか恨みを返してやりたい、――わたしは日毎に痩せ細りながら、その事ばかりを考えていました。するとある夜わたしの心に、突然閃いた一策があります。「まりや」様! 「まりや」様! この一策を御教え下すったのは、あなたの御恵みに違いありません。ただわたしの体を捨てる、吐血の病に衰え果てた、骨と皮ばかりの体を捨てる、――それだけの覚悟をしさえすれば、わたしの本望は遂げられるのです。