輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しおばな
塩花
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《塩花(しおばな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,421 字 · 25 頁
帰りぎわが大切だと彼は考えた。
然し彼の方を顧る人はいなかった。彼はそこに、碁客のそばに、置きざりにされた形になった。
近く、広縁のところで、話し声がした。「落葉樹の森」という言葉が山口の注意を惹いた。声には覚えがあった。
「前半はたいへん面白く思いましたが、後半が少し退屈でした。」
「ええ、小説にしては、少し思想的すぎると、先生も御自身で仰言っていましたわ。」
「あの思想には、僕も賛成です。ただちょっと、拗ねてるような、へんなところがありますね。」
「私にはよく分りませんけれど……。」
「前から、お逢いしたいと思っていました。こんど、ついでの時に誘って下さい。」
「ええ、先生の御都合を伺ってみますわ。」
「気むずかしい人ではありますまいね。」
「いいえ、決してそんな……。」
そして笑い声がした。
どうも吉村氏のことらしいと、山口は思った。そして立っていった。佐竹と千枝子が、立ち話をしていた。彼女は先程の身扮の上に小紋錦紗の羽織をひっかけていて、なにか老けたように見えた。山口から顔をそむけた。
山口は快活そうに言った。
「吉村さんのお話のようですね。」
「そうです。