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ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《墓地展望亭(ぼちてんぼうてい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,485 字 · 93 頁

青空文庫

寸暇もない多忙な時間をさいて、イゴール・アウレスキーが、例の温容を湛えながら、毎日一度、見舞いにきた。

最初の日、老枢密顧問官は、竜太郎の問いかけを待たずに、限りない喜色を浮べながらいった。

「同志……あなたのお友達は、安全無事に王宮にいられます」

竜太郎は、叩頭した。

「有難う……」

老枢密顧問官の心尽しへではなく、何か、ある高いただ一人のものへの、心からの謝辞だった。

両腕と両膝関節の負傷は、思ったほどひどいものではなかった。どちらにも骨折はなく、男たちに強打された時に脱臼しただけだった。ただ後頭部の裂傷だけは、相当ひどくて、手術後の化膿を気づかわれていたが、それも杞憂ですんだ。

三月八日、エレアーナ女王の登極が公布され二日おいて、リストリア王国の女王としての、外国使節に対する最初の謁見式が行われることになった。竜太郎は、日本留学生の代表として謁見式に招待されることになった。竜太郎が欲したのではなく、老枢密顧問官の自発的厚意によるものだった。

竜太郎の自動車は、車寄せの正面へすべり込んだ。

竜太郎は予想だもしなかったこの境遇を、じぶんで信じかねるような気持だった。