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だんのうらのおにび

壇ノ浦の鬼火

下村 千秋

線上閱讀下村 千秋《壇ノ浦の鬼火(だんのうらのおにび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,170 字 · 15 頁

青空文庫

大げんかんの前、召使いの案内、長いろうか、大広間、そして、しんといならぶ人びとの前、そこで法師は昨夜とおなじように、壇ノ浦の物語をひきました。そうして、人びとは、またも泣き、むせび、悲しみました。法師は深い感激にうたれて、寺へ帰って来ました。

すると、寺ではめくらの法師が、だれの案内もなしに寺をぬけだしていることを知りました。

つぎの朝、法師はお坊さんの前へよばれて、やさしくいいきかされました。

「えらく心配しましたぞ。めくらがひとり出をするのは、わけても夜中にでるのは、なによりあぶないことじゃ。どういうわけで、出ていくのか。わしは寺男にさんざんさがさせたのじゃ。いったいどこへいきなさるのだね。」

「これは申し上げられませぬ。てまえのかってな用事をたしにでかけたのです。どうもほかの時刻では、つごうがわるいものですから。」

法師はただそう答えました。

お坊さんは、法師のようすがあまりへんなので、これはすこしあやしい、もしかしたら悪霊にでもとりつかれたのかもしれない、と思って、それ以上は、ききただそうとしませんでした。そのかわり、ひとりの寺男に、ひそかに法師のようすを見はらせることにして、もし夜中にそとへでていくようなことがあったら、あとをつけろといいつけておきました。