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こわれたバリコン
壊れたバリコン
海野 十三
線上閱讀海野 十三《壊れたバリコン(こわれたバリコン)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,132 字 · 23 頁
当直将校丸本少佐は、何でもないという顔付をして僕の待たせられている応接室に入って来ました。僕は其の落付いた態度に、自分の持っている昂奮と不安とが、ややうち鎮められて行くのを感じました。しかしそれからのちの、重大事件の説明は、すらすらと搬びませんでした。それは、小一時間に渡った問答――というよりも訊問――が続いたのちのことです。何等かの決意をした丸本少佐は別室に去りました。営内がこの夜更に少しずつざわめき出して来ました。電話のベルが廊下のあなたに三度四度と鳴らされて行きました。「坩堝に滾りだした」不図こんな言葉が何とはなしに脳裡に浮びました。
室の外の長廊下の遠くから、入り乱れて佩剣の音が此方へ近付いて来ました。
丸本少佐の外に士官が二人、兵士が二人うち連れだって室内に姿を現わしました。少佐は其の人達を僕に紹介して呉れましたが、一人は参謀の川沼大尉、他の一人の阿佐谷中尉と二人の兵士は通信係の人達でした。少佐はこれより直ちに僕の家を訪問して、謎の短波無線局のセントー・ハヤオ氏の通信を聴きたいということを語りました。僕はまだこれ位語ってみても信用されない自分を一応は腹立たしく思いました。