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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《夜明け前(よあけまえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 頁
当時、外国の事情もまだ充分には究められなかったような社会に、西洋は実にすばらしいものだという人をそう遠いところに求めるまでもなく、率先して新しい風俗に移るくらいのものは半蔵が宿の亭主多吉のすぐそばにもいた。その人は多吉の主人筋に当たり、東京にも横浜にも店を持ち、海外へ東海道辺の茶、椎茸、それから生糸等を輸出する賢易商であった。そのくせ、多吉は西洋のことなぞに一向無頓着で、主人が西洋人から手に入れて珍重するという寒暖計の性質も知らず、その気候温度の昇り降りを毎日の日記につけ込むほどの主人が燃えるような好奇心をもよそに、暇さえあれば好きな俳諧の道に思いを潜めるような人ではあったが。実際、気の早い手合いの中には、今に日本の言葉もなくなって、皆英語の世の中になると考えるものもある。皮膚の色も白く鼻筋もよくとおった西洋人と結婚してこそ、より優秀な人種を生み出すことができると考えるものもある。こうなると、芝居の役者まで舞台の上から見物に呼びかけて、
「文明開化を知らないものは、愚かでござる。」
と言う。五代目音羽屋のごときは英語の勉強を始めたと言って、俳優ながら気の鋭いものだと当時の新聞紙上に書き立てられるほどの世の中になって来ていた。