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よなきてっこつ
夜泣き鉄骨
海野 十三
線上閱讀海野 十三《夜泣き鉄骨(よなきてっこつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,273 字 · 31 頁
「おせい」
「大将の、なにに当るんです」
「馬鹿!」
露路を二三度、曲った末に、わし達は、目的の家の前へ来たのだった。
わしは、雨戸を引かれた、表の格子窓に近づいて、家の内部の様子を窺った。幸いこのところは、露路裏の、そのまた裏になっている袋小路のこととて、人通りも無く、この怪しげな振舞も、人に咎められることがなかった。とにかく、家は留守と見えて、なんの物音もしなかった。わしは、連れを促して、裏手に廻った。
勝手元の引戸に、家の割には、たいへん頑丈で大きい錠前が、懸っていた。わしは、懐中を探って、一つの鍵をとり出すと、鍵孔にさしこんで、ぐッとねじった。錠前は、カチャリと、もの高い音をたてて、外れたのだった。
わしは、後を見て、横瀬に、家の中へ入るように、目くばせをした。
障子と襖とを、一つ一つ開けて行ったが、果して、誰も居なかった。若い女の体臭が、プーンと漂っていた。壁にかけてあるセルの単衣に、合わせてある桃色の襦袢の襟が、重苦しく艶めいて見えた。
「いいのかね。こう上りこんでいても」
横瀬は、さすがに、気が引けているらしかった。
「叱ッ――」わしは、睨みつけた。