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おおえどおうごんきょう
大江戸黄金狂
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《大江戸黄金狂(おおえどおうごんきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,754 字 · 53 頁
赤崎才市は物々しく始めます。
「ありますよ、旦那、死んだお袋が肌守の中に縫い込んでくれたんだが、何んでも三寸四方ほどの小さい紙片で、蜘蛛の巣のようなものと、六つかしい字が書いてある筈だが――」
「それだよ、貝六、それがありゃ、手前も大久保石見守の子孫の一人だ、七万両のうち一万両だけは威張って貰える」
「ヘエ、一万両」
「宜いか、よく聴くんだぞ、――今から丁度百年前、慶長十八年八月十五日に亡くなった、大久保石見守という人は、若い時分は能役者だったが、東照家康公の御眼識に叶って、金山奉行を承り、日本中の金銀銅鉄鉛の坑領り、一時は天下の租税を管して、威権宗臣を過ぐと言われた。――話は六つかしくて判るまいが、兎に角、日本中の金山を一手に引受けたんだから、自分の懐へもどれだけ金が入ったかわからない」
「ヘエー」
話の重大さに貝六はすっかり圧倒されました。
「その大久保石見守は、武州八王子で、三万石を食んで亡くなったが、死んだ後で大変な騒が持上った。――それは、遺書に七万両の大金を、七人の妾に形見としてわけてやると書いてあったからだ。妾から早速七万両の金を引渡すように総領の藤十郎に迫ったが、藤十郎はそれを聴き容れない。