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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁

青空文庫

「なんの、なんの……修行というほどのことではございません、誰にもできることですよ。高いお山の上へ登って御陽光を分けていただきますと、もうこの心持が嬉しくなって、世間が晴々しくなって、この足が自分ながら躍り立つように軽くなりましてな、山坂を上ることも、下ることも、寒さも風も苦にはなりませんわい。こうして小屋へ帰って、焚火の光を見ますと、火の光がまた、なんともいえない陽気なもので、嬉しくなります、は、は、は……」

神主は嬉しくてたまらないように、しきりに喜んでいたが、ふと浅吉の顔を見て、

「若衆さん、お前さん、また何か鬱ぎ込んでいますな、いけません、一人鬱いでいると、室内がみんな陰気になりますから、おやめなさい、人間、陰気ということがいちばんいけないのですて……人は陽気がゆるむと、陰気が強くなります。陰気というのは、つまりけがれのことで、けがれは、つまり気を枯らす気枯れということでござってな、お天道様の御陽光が消えると、けがれが起るのじゃ。お前さん、陰気だ、陰気だ、これはいけない、いけない、陽気にならっしゃい、ちと外へ出て御陽光を吸っておいでなさい……お前さんがいるために、この小屋の内までが変に陰気くさくなっていましたわい、ドリャお祓いをして進ぜよう」