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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁

青空文庫

と憎まれ口をきく者もある。

そんなのを聞きながらも、日一日とお雪は、この色気たっぷりの後家さんと懇意になって、お雪はおばさんおばさんといい、後家さんはお雪さんお雪さんといって、絶えず往来していましたが、ある日、

「お雪さん、きょうはひとつ鬼ヶ城を見物に行こうじゃありませんか」

「参りましょう」

「二人、水入らずで行きましょうね」

「そうしましょう」

お雪はこの後家さんの誘いを素直に受入れて、この地の名所、ついとうしから鬼ヶ城の方へ、フラフラと出かけました。

十五

そのあとで、机竜之助は、丹前を肩から引っかけて、両手をその襟から出し、小机の前に向って、静かに罨法を施しておりますと、

「御免下さいまし……」

怖る怖る隔ての襖を開いたものがあります。

「誰です」

竜之助は別に振向きもしません。振向いたとて見えもしませんから――

「御免下さいまし、お邪魔をしても、さしつかえございますまいか」

「お入りなさい」

と罨法を施しながら、竜之助が答えました。

「それでは御免下さいまし」

御免下さいましを三重まで重ねて、おずおずと入って来たのは、二十二三の色の白い、羽織じかけの気の利いた商人風のやさ男であります。