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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 頁

青空文庫

よくあることで、酒の上の冗談から、果し合いになったり、申合いの勝負が、遺恨角力に変ずることもないではない。そこで、暢気な丸山勇仙が、ほんとうに怖れを感じだしてきたのも無理はありません。

「兵馬、これは斬れまい」

仏頂寺が、またも冷然として言い放つと、

「何を!」

笠を投げ捨てた兵馬は、勢い込んで刀を抜き合せてしまいました。

それ見たことか――勝負心の魔力というものは、得てこうなるものだ。

兵馬は、ついに離れて、仏頂寺の青眼に対する相青眼の形を取って、ジリジリと、その足の裏の大地に食い込むのがわかる。

それを見た丸山勇仙が堪り兼ねて、

「おい、仏頂寺、止せよ、冗談は止せよ、第一、この俺が迷惑するではないか、宇津木、君も刀を引いた方がいいぜ」

最初は囃したり、けしかけたりしてみた勇仙は、双方の間に立って、途方に暮れながら騒ぎ出しました。

丸山勇仙が騒ぎ出したのみならず、遥か離れて休んでいた山の娘たちも、遠くこの光景を見て総立ちになりました。

「おい、仏頂寺、冗談は止せよ、宇津木、刀を引けよ」

丸山勇仙は、うろうろとして両者の間を飛びまわる。

しかも、仏頂寺は冷然として動かず、宇津木は全力を尽して向っている。