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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 頁
お絹は怫然として、
「冗談も休み休み言わないと、罰が当りますよ」
「どうも相済みません」
「お前たち、百姓の分際で……」
「まことに相済みません、あなた様は御先代の神尾主膳様御寵愛のお部屋様、とはいえ、金銭は別物でございますから、たとえ、どなた様に致せ、抵当が無くて、金銭を御用立て申すというわけには参りません、お気に障ったら御免下さいまし」
七兵衛はそういいながら、後ろの壁に押付けてあった鎧櫃を引き出して来ました。いつの間にか、お賽銭箱が鎧櫃にかわっている。それを引き出して来た七兵衛は、並べた金銀の包みを、次から次へとこの鎧櫃の中へ蔵いはじめました。
お絹は、その手つきを冷笑気分で見ていましたが、そう思って見るせいか、七兵衛の金を蔵う手つきまでが堪らなく気障です。
「恐れ入りますが、そいつをひとつ……その見本をこっちへお返しなすっていただきましょう」
ふいと気がついたように七兵衛は、お絹に向って最初に提示した慶長小判をはじめ、見本の金銀を、お絹の手元まで受取りに出ました。
「持っておいで」
お絹は脇息の上から、ザラリと金銀の見本を投げ出しました。
それをいちいち御丁寧に拾い上げた七兵衛、