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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 頁

青空文庫

も貰えばいい気になって、お太鼓を叩くのだから、役者共もつけ上る。正直な見物も、ちっとの間は迷わされる――よい批評家というものがあって、公平に、親切に、厳格に、事を分けて、役者を叱り、素人を導いてやればいいのだが、今はその批評家というのが無く、ただ無いだけならいいが、その批評家というやつがグルになって、碌でもないものをかつぐのだから、そこで吾々の腕力が必要になる。罪は人形使いと、批評家にあるのだ……芝居に限ったことはあるまい」

二十八

宇津木兵馬に愛想づかしを言って分れたお銀様は、その晩、ふらふらと甲府の宿を立ち出でました。どこへ、どう行こうという当てがあって出かけたとも思われません。ただ、どうも、じっとしてはいられないので、そぞろ歩きをしてみる気になったのでしょう。

甲府の町の天地は、今やその昔のように殺気のあるものではありません。頭巾を冠ったお嬢様が一人歩きをしようとも、宵のうちは怪しむものもありませんでしたが、人通りの稀れな所へ行くと、

「あのお嬢様はどこへ行くつもりだろう――いくらなんでもこの淋しい竜王道を……追剥でも出たらどうなさる、去年のように辻斬が流行らないで仕合せ、それでも雲助の悪いのや、無宿者の通り易いこの道を、怖いとも思わず女一人で……」