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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,467 字 · 168 頁
蝦夷境を去る一百二十里のことは知らないが、常陸の国界を去る四百十二里は飛ばし過ぎる。これは現に自分が歩んで来た道だが――四百十二里はヨタだね。それからすると、無論下野の二百七十四里もいけない。従って京の一千五百里もあてにならぬことの骨頂だが、靺鞨国というイヤにむずかしい国名はあんまり見かけないが、唐天竺のことでもあるかな。せっかくの石碑がこうヨタで固められては有難くねえ――だが待てよ、これは昔の里数かも知れねえぞ――それとも支那里数で行っているのか」
七兵衛としての興味と疑問は、そんな程度のものでした。
ですから、僅々数日の間に、すべての名所古蹟といったようなものを見尽してしまうと、彼の天性の迅足の髀肉が、徒らに肥えるよりほかはせん術がなき姿です。
でも、その数日の間に、駒井の船が姿を見せないことは前日の如く――それで退屈のやる瀬なき七兵衛は、風物を見、海面を睨めていることに屈託した彼は、やっぱり、人を見ることの興味によってのほかに慰められそうなものはない。
人といったところで、この辺の人とは気風もしっくりしないし、それに第一、まるっきり言葉がわからない。