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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁

青空文庫

百十一

そこで、悪食連も驚いて出て見ると、玄関に転げ込んで、かわいそうに息が絶えているのは、今も今、問題にしていた鐚でした。

「鐚だ」

「鐚が気絶している」

「水を吹きかけろ」

「鐚――鐚やあーい」

呼び続けると、直ちによみがえりました。

「鐚――気がついたか」

「鐚――しっかりしろ」

「鐚――」

広間へ担ぎ込んで、そうして事情を聞いてみると前段の始末です。

それ! と集まった悪食連のうちから、逸り男が飛び出してみたけれども、もう後の祭りで、町の巷の動揺もすっかり静まり返っていたところですから、手持無沙汰で帰っては来たが、このままでは済まされない。鐚は鐚で休息させて置いて、一手は神尾の行方を突きとめにかかりました。

しかし、それも大っぴらにしてはかえっていけない。神尾のやり方が穏かでないにきまっているから、騒いだ日には藪蛇になるばかりか、自分たちもとばっちりを蒙るにきまっている。内々で手分けをして探してみたけれど、根岸の宅へも戻っていない、さりとてとり押えられたという気配もない。杳として消息が知れないから、まあもう少し落着いてゆるゆる探してやろう。