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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁

青空文庫

こんな船の中に、どうして、あの豪傑肌の田山白雲先生が一緒におられるのか、それがそもそも一つの不思議でならない。

田山白雲のための船の一室におさめられた柳田平治は、そこで、彼は長い刀を枕にして、ゴロリと横になって、船室の天井に向けて太い息をふっと吹きかけ、

「いやだ、こんなところに長居をしたくない、そう思うと一刻もいやだ――本来、おれは江戸へ出て武者修行をするつもりで来たのだ、こんな毛唐まがいの船の中へ捕虜にされるつもりで来たのではない」

こう言って、奮然として起き、枕とした例の長い刀を取り上げてみたが、さすがにまた思い直さざるを得ざるところのものがある。

「第一、手形がない」

道中唯一の旅行券を渡頭で、いい気になって居合を抜いた瞬間に、何者にか抜き取られてしまっている。ちぇッ。

「第二、田山先生に済まない」

駈落者護衛の使命だけは無事に果したが、まだ、少なくとも三日間の後に帰ると言った田山先生を、この船で待受けると言った約束は残っている。

さすがにこれだけの理由と事情とが、一時の癇癪を抑えるだけの力を持っておりました。

それに、もう一つ――いろいろ自分を船で引廻してくれる、あのお松さんという娘――あの人はいい人だ、あの娘さんだけには断然、好感が持てる。