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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁
そこで、火を認め得れば必ず人があり、人のあるところには必ず火がある。そうして、火というものは、昼間に於てよりは、夜間に於てその存在をいっそう明瞭にする。
こういう見地からして、田山白雲は特に夜を選んで駈落者の所在を探索に、ここへこうしてやって来たというわけなのであります。
ただ予期しなかったことは、ここへ、同行ともつかず、従者ともつかず、お弟子ともつかない、長剣短躯の青年を一枚加え得たというだけのもので、いつしかこの漢子は、「先生」と白雲を呼びかけるほどに熟してしまっている。
白雲が右のバッテイラ型と称した小舟の傍で言いました、
「ねえ、もう袋の鼠だよ、こっちのものだよ、そう思って聞いて見給え、あの問題の楽器はイカモノだな、笛でなし、鼓でなし、尺八でなし、琴でもなし、三味線でもなし、何か毛唐のイカモノの響きだ。本来、あのマドロスという奴が、ウスノロに出来てるんだ、眼色毛色の変った奴に、ドコまで道行ができるものか。先生、一時の安きをたのんで、ああして太平楽にイカモノを鳴らかして楽しんでいる知恵なしを見給え、自分たちはいい気分で人知れず楽しんでいるつもりだろうが、木の音、草の音を忍ぶ駈落者が、楽器いじりとは呆れたものではないか、ウスノロはどこまでもウスノロだよ」