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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 頁

青空文庫

その後、おりゃ、女という方にはさっぱり綺麗に、よくもここまで通して来たもんだ、悪い事ぁするが、その悪いことも性分でやってるので、意地でやるわけじゃねえんだ、因果なことに、盗むのが面白くって面白くって、世間が隙だらけで隙だらけで、だまって見ていられねえから、ついちょっと手が出る、手が出ると、足が物を言うので、ツイツイここまで盗みを商売にしては来たものの、その上り高で、道楽を一つするじゃなし、お妾を一人置こうじゃなし、時たま旨え酒を飲んで、旨え物を食ってみるくれえが関の山なんだ。女房のほかには、女てやつにさっぱり慾がなかったなあ、今日までそれで通して来たんだ。考えてみると、おれは盗人さえしなければ、聖人のようなものだ、盗人にならなけりゃ、相州の二宮金次郎になっていたかも知れねえ。だが、おれの初手の嬶は、あいつは今どうなっていやがるかなあ、嫁入前に男をこしらえて、お土産つきで来るような奴だから、娘時分には、男も一人や二人じゃなかったろう、どうせ、水呑百姓のおれんとこへ、まあ、鄙には珍しいというくらい、渋皮のむけた奴で、おれのところへ来るのだから、何か仕くれえがあったに違えねえ。