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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 頁
「お松さんか、お松さんは宿屋に待っているだろう」
「宿屋ってどこ」
「つい、そこの海岸だ」
「先生は毎日ここで絵を描いてるの?」
「そうだ」
「で、お松さんだけが、七兵衛おやじを探しているの?」
「叱!」
と田山白雲が、今度は茂太郎を叱り睨めました。七兵衛七兵衛と言うのが、いけないのです。
叱られて茂太郎は、何でそれが咎められるのかわからない。
「このお寺ん中に隠れているんじゃないの?」
「これ――」
白雲はついにたまりかねて、
「茂公――お前はここへ来ちゃいけない、拙者の仕事の邪魔になるから、宿へ行ってお松さんをたずねろ――ずっと海岸通りをつたって行くと、五大堂というのがあって、その前に新月楼という家がある、お松さんはそこにいるはずだから、先へたずねて行ってみろ」
「え、じゃ、行ってみましょう」
「茂坊、ちょっとお待ち」
「何ですか、田山先生」
「ちょっと、こっちへおいで」
「はい」
茂太郎を呼び戻した田山白雲は、前こごみになって、その耳もとに口をつけ、
「お前、めったに七兵衛おやじと言うんではないぞ」
「じゃ、七兵衛おじさんと言えばいいの?」
「いけない、七兵衛という名をめったに口に出してはいけない」