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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

大菩薩峠

一

武州沢井の机竜之助の道場に、おばけが出るという噂は、かなり遠いところまで響いておりました。

ここは塩山を去ること三里、大菩薩峠のふもとなる裂石の雲峰寺でもその噂であります。

その言うところによると、この間、一人の武者修行の者があって、武州から大菩薩を越え、この裂石の雲峰寺へ一泊を求めた時に、雲衲が集まっての炉辺の物語――

音に聞えた音無の名残りを見んとて、沢井の道場を尋ねてみたが、竹刀の音はなくして、藁を打つ男の槌の音があった。

昔なつかしさに、その道場に一夜を明かしてみたところが、鼠のおばけが出たということ。木刀を取り直して打とうとした途端、その鼠の顔が、不意に、馬面のように大きくなったということ。

そこで、イヤな思いをして、翌日は早々、御岳山に登り、御岳の裏山から氷川へ出で、小河内で一泊。小河内から小菅まで三里、小菅からまた三里余の大菩薩峠を越えて、あの美しい萱戸の長尾を通って、姫の井というところにかかると、そこでまた、右の武者修行が、ゾッとするものを一つ見たということであります。

古土佐の大和絵にでもあるような、あの美しいスロープの道を半ばまで来た時分。