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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
あの時のように、一応、外からのぞいて見たり、おとのうてみたりして、おもむろに闖入に取りかかるというのではなく、バタバタと駈けて来て、いきなり障子をあけて、一言もなしにズカズカと人の座敷へ入り込むのだから、かなり大胆なものです。
けれども、この大胆者は、兵馬を怖れしめないで、驚かせるには驚かせたが、むしろ唖然として、あきれ返るように、驚かせたのです。
この闖入者は、赤いひげのマドロス氏とは違って、艶になまめいた女でありました。
それは特にめざましいもので、男髷にゆって、はなやかな縮緬の襦袢をつけた手古舞姿の芸者でありましたから、兵馬といえども、呆気に取られないわけにはゆきません。
ははあ、今夜はお祭で、手古舞が出て大騒ぎであった。だが、手古舞がここへ舞い込んで来るのは、どうしたことの間違いだ。
兵馬は寝たままで半眼を開いて、非常な驚異で、手古舞の挙動を注視していると知るや、知らずや、手古舞の無遠慮はいよいよ甚だしいもので、いきなり、火鉢のところへ来てべったりと坐ってしまい、右の手で火鉢の上の鉄瓶を取ると、左の手で湯呑をひっくり返し、もうさめてしまった鉄瓶の湯を、その湯呑の中につぐと、仰向けにグッと傾けてしまいました。