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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
兵馬が驚き、また何となしに記憶を呼び起され、ついに一種異様のおかしさを感ぜしめられたのも道理、この声の主こそは、すなわち有名なる道庵先生でありましたのです。
ですから、もう少し何とかすれば、兵馬も、先生に顔を合わせることができて、お互いに知らない間柄でもないから、これはこれはと、額に手をおいて、それからお互いに、多少実になる話があったかも知れません。
もとより、道庵先生も、そのことは知るに由なく、今や蒲団の中に仰向けになって、起きもやらず大声で、ただいまの、「ヤレ出た、鬼熊」をやり出したのであります。
ここに道庵先生が呼ぶ「鬼熊」というのは、大正昭和の頃、千葉県なにがし村に出没した悪漢をさしたのでないことは無論、また道庵先生自身の頭が、タガというものがゆるみきって、底知れずにダラけきってしまったものだから、ついこんなことを口走るようになったというわけでもなく、別にその時代にも、鬼熊という名物が確かに存在していたのであります。
それを嘘だと思うものは、当代の鬼熊が活躍した、その同じ千葉県の成田の不動堂へ行ってごらんなさるとわかります。かしこには立派に、その時代の鬼熊の額がかけてある。