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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
行き行きて、この二人が、例の芝居小屋の前まで来ると、数日まえの景気はなく、立看板に筆太く、
「大衆演劇、近日開場」
と書いてありました。
それを見ると、道庵先生が足をとどめて、しばらく打ちながめ、
「ははあ、大衆演劇」
と首を傾げました。
大衆とはいったい何だろう――道庵は、しきりにそれを考えながら、足を運び出しました。そこでひとりごと――
大衆というのは「坊さん仲間」ということで、よくそれ、太平記などに一山の大衆とあるが、大衆が芝居をやるというのは解せねえ、坊さんが出て芝居をやるというのはわからねえ、いかに物好きな坊さんだって、芝居小屋を借りて、坊主頭を振り立てて踊ろうというほどの豪傑はなかろう。第一、それでは寺法が許すまい。狂言綺語といって、文字のあやでさえもよしとはしない仏弟子が、進んで芝居をやり出そうとは思われぬ。してみると、これはつまり、坊さん役のたんと出る芝居だろう。たとえてみれば道成寺といったように、坊主が頭を揃えて飛び出す芝居かも知れない。そこで大衆演劇と名をつけたんだろう。そうに違いない。そうでなければ「かっぽれ」かな……喜撰でも踊るのか知ら。