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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

の下駄の一足も買ってやらなきゃあ冥利が悪いから、いくらか貸してくんな、おめえが持っていなけりゃお嬢様におねげえして、いくらか貸してくんなと、声高になる。

何だいべらぼうめ、女をこしらえちゃ悪いのかい、女をこしらえねえような奴は、人間の屑だい……というような悪口も聞え出す。

浄土の連想も、経文の柔軟も、あったものではない、ダニといわれた船頭の悪口で、すっかりかきまわされる。

お松は、どうしても自分が出なければならないと思いました。こういう際の取扱いは、いつもお松が当ることになっていて、与八ではどうしても納まりのつかないのが例であります。

縫物を押片づけたお松は、そのまま道場の方へと歩んで行きました。

「谷蔵さん、今晩は……」

「これはこれは、お嬢様」

お松のことを、誰いうとなくお嬢様で通っている。お松が現われると、すっかり谷蔵の機鋒が鈍ってしまうのが不思議であります。

「与八さん、そんな悪い奴は、かまわないから、つかみ出しておしまいなさい」

お松がそう言っておどすと、ダニが顔の色をかえて、あわてふためいて逃げ出しました。力のあり余る与八を恐れないで、力のないお松を恐れることも不思議であります。