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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

知らないこととはいえ、どうも縁起のよくないことをする女です。

と思って女の身のまわりをよく注意すると、不祥はこれ一つに限ったことはない、砂丘の断続したその後ろのところを見ると、それよりはいくらか小さい分のこと、あちらにもこちらにも同じような石塔、五輪のような形を成したのや、無縫の形を成したのまでが、散在していて、そのまわりには、満足であったり、折れたり、裂けたりした卒塔婆までが、いくつも立ち乱れています。

けれども、見たところ、それは一定の墓地というものでもないらしい。形ばかりでも菩提寺というものがあって、親類縁者というものが集まって、野辺の送りというものを済ました後、霊魂の安住という祈念で納めた特定の場所ではないらしい。

つまり、無縁仏というものです。無縁仏とすれば、陸地で、畳の上で、ともかくも無事な息を引取ったものではなく、この見渡す限りの広い海原のいずれかで、非業の死を遂げて、その残骸を引渡すところもなく、引取る人もなき、不遇の遊魂を慰めるために、こうして、心ばかりのしるしが営まれたと見るほかはないのであります。

今も、逞しい海の労働女がもたらした一つの新しい記念碑も、ただいま陥没した清澄の茂太郎のための早手廻しでない限り、そういった種類の遊魂の衣に過ぎまいと思われます。