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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

「いったい、海竜というのは何だい」

駒井が、あまりの仰々しさに、漁師どもに問い返すと、

「海竜に逢っちゃたまりませんや、御用心なさるこってすよ、いつどこへ出て来るか知れやしません、今夜は寝られませんよ、夜っぴて寝ずの番です。明朝になったら、先生、退治しておくんなさいまし、あの大筒でもって。いかな海竜だって、大筒にゃかなわねえや」

海竜とは何物だ、ということには返答しないで、ただその海竜の恐るべきことだけを説いている。

そこで、駒井は考えました。この連中が海竜といったのは、鯨のことでもありはしないか。何かの間違いで鯨がこの浦へ流れついたのでも見て、そうして海竜、海竜とさわいでいるのかも知れない。そこで駒井は、再び念を押してみました。

「君たちが海竜というのは、鯨のことでもあるのかい」

「いいえ、どう致しまして、鯨ならば殿様、逃げるどころじゃござんせん、鯨ならばいいお客様ですよ――鯨なら浦が総出で、とっつかまえてしまいます、海竜に逢っちゃかないません……」

海の最大の生物よりも、恐るべき海竜というものの襲来が、どうしても駒井にはのみこめないでいると、

「どうか殿様、御用心なさいまし、当分は、どなたも、外へお出しにならねえのがようございますよ、そのうちなんとかなりましょう、ほんとうにお気をつけなすっておくんなさいまし